入社1年目で退職を選んだ理由

昨今、「若手の早期離職」が課題として取り上げられる機会が増えています。
一方で、その背景にある一人ひとりの悩みや違和感が、丁寧に語られることは多くありません。

今回は、社会人1年目という早い段階でキャリアの選択を見直すことになった畑野さんに、当時どのような環境の中で、どんな気持ちの変化があったのかを振り返ってもらいました。

プロフィール

畑野さん
2024年、新卒で大手人材企業に入社。求人広告営業として、企業の採用支援に携わる。入社後、仕事にやりがいを感じながらも環境との向き合い方に悩み、1年目の途中で休職・退職を選択。現在は別の企業で営業職として働いている。

―入社して最初の頃、仕事や職場の雰囲気はどのように感じていましたか?

入社当初は、職場の雰囲気はとても良いと感じていました。
上司や先輩との年齢も近く、距離感も近かったので、働きやすい環境だと思っていました。

また、大手企業で新卒の人数も500人を超えていたこともあり、全国の同期と一緒に研修を受けたり、飲みに行ったり、仕事の話をしたりできたのはとても楽しかったです。

仕事面では、名刺交換のマナーや挨拶回り、飛び込み営業など、営業職として一通りの基礎を学べたことが新鮮でした。
求人広告営業という仕事を通じて、「仕事」という人生の大きな選択や決断に関われることに、誇らしさも感じていました。

結婚や家を買うことと同じように、人生の重要な意思決定の一部に携われる。その感覚が嬉しかったですね。

―日々のコミュニケーションの中で、印象に残っていることはありますか?

入社前に抱いていたイメージとは少しずつ違いを感じるようになりました。
社内では、お客様や職場のメンバーに対して、役職者の方が見下すような発言をしていたり、見た目や性格に関するきつい言葉が飛び交ったりする場面を目にすることが増えていきました。

そうした空気の中で、自分自身も強い言葉を直接かけられることが続き、精神的にしんどさを感じるようになっていきました。

一方で、社外の仕事自体にはやりがいを感じていました。
求人を出しても応募が集まらない、採用しても定着しないなど、企業ごとに異なる課題を抱える中で、求職者の傾向と企業の特徴を掛け合わせて提案することが楽しかったです。

お客様の話を丁寧に聞きながら、良い点も課題点も正直に伝え、対話を重ねていく。
その結果、採用や定着の課題が少しずつ改善されていく過程を見るのが好きでした。

お客様のことを深く知り、尽くす営業を続けていく中で、「ありがとう」と言ってもらえる機会が増え、やりがいも感じられていました。

―その環境の中で、ご自身の気持ちや考え方に変化はありましたか?

社内でそうした場面を目にすることが増えた頃から、自分自身の成績も思うように伸びなくなりました。
新規受注が取れなかったり、受注できても目標に届かなかったり、既存顧客から更新をいただけなかったり。

同じオフィスの同期が成果を出し、表彰を受けている姿を見る一方で、自分は何も残せていない。
その状況に、やるせなさや悔しさ、焦りを感じることが増えていきました。

―当時、その気持ちを誰かに相談することはできていましたか?

同じオフィスに、何でも話せる同期と先輩が一人ずついたので、その二人にはよく相談していました。
誰かに話せる存在がいたこと自体は、救いだったと思います。

―「このまま続けるのは難しいかもしれない」と感じたのは、どんな時でしたか?

悩みが増えるにつれて、体調にも影響が出始めました。
朝起きられなかったり、夜眠れなかったりする日が続き、最終的には出社できなくなってしまいました。
このままではいけないと感じ、休職を経て、退職するという選択に至りました。

―退職を選んだことについて、今はどう感じていますか?

正直に言うと、「めちゃくちゃ正解だったな」と思っています。
(ここまで重い話になってしまって、すみません…笑)

退職に至った理由自体は決して前向きなものではありませんでしたが、その後、本当にやりたかった仕事に就くことができました。
尊敬できる先輩や上司に囲まれて働けていることが、今はとても嬉しいです。

仕事が嫌だと感じたことも一度もありませんし、楽しみながら働けています。
お客様の数だけ提案の形があり、それぞれの悩みや理想に向き合える営業の仕事に、大きな魅力を感じています。

「あの時、辞めてよかった」と、今は心から思えています。

— 今振り返ってみて、「これが解決していれば―今、同じように悩んでいる1年目の方に伝えたいことはありますか?

「もう無理かも」と思ったり、「なんとなく違うな」と感じたり、
私のようにやむを得ない理由で辞めることになったとしても、全然大丈夫だと思います。

案外、どうにかなります(笑)。
やっぱり、自分がやりたいと思える仕事ができると、しんどさは全然違うなと感じています。